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集計報告

調査目的と回収結果

高知県下における高校生の職場体験に関する企業意識を調査する目的で、高知県内に本社(もしくは同等の意思決定機能を持つ営業所)をおく365組織(公共団体除く)にアンケート調査、電話による聞き取り調査をおこなった。その中で、調査にご協力いただけた企業数は148社、アンケート回収率40.5パーセントである。

受け入れ企業等組織の実態

高校生職場体験を実施している企業等組織が42社、実施を検討中の組織が18社、高校生の受け入れの可能性が高いと思われる中学生職場体験実施組織が20社となった。アンケートを直接回収できなかった200社余りの組織の一部には電話調査をおこなったが、その大半が高校生の職場体験に関する認知が不十分であり、関心の弱い様子が窺えた。これらのことから、現状の高校生職場体験の受け皿となる企業等組織数は、高知県下の高校生総数から考えるとまったく十分とはいえず、調査結果を踏まえて仮説を構築し、検証可能な職場体験の受け入れ企業開拓が急がれる。

企業等組織の受け入れ目的

受け入れ企業担当者の高校生職場体験実施目的をサンプリングしたものが以下の表である。

  • 高校生の仕事に対する意識付けを行い、当社への就職有無に関わらず、今後の職業選択に役立ててもらう(技術・製造業)
  • 社内の共育力を高めると共に、若い人の新鮮な視点を経営に活かしたい(サービス業)
  • 次世代を担う学生に、具体的な体験の場を進んで提供する(技術・製造業)
  • 高校生に実際の仕事を体験してもらうことで、職業選択を間違いないものにしてもらうため(製造・販売業)
  • 現在の学生さんの考え方や状況、あり様を理解し入社後、どのような教育をしていけばいいのか考え、構築をするため(サービス業)
  • 学生さんがより高い意識を持って就職活動ができるように(サービス業)
  • 業界就職に伴うミスマッチ防止及び転職防止(技術・製造業)
  • 地域の若者に地域に根ざす中小企業の実態を体験してもらうことで、中小企業ならではのやりがいや働きがいを感じてほしい(サービス業)
  • 高知の企業として地域社会の発展に少しでも貢献する(技術・製造業)
  • 現場に学生が研修に来ることで、大人として、社会人の見本となる姿勢をもてるようにするため(サービス業)
  • 体験を通じてソフトウェア開発技術や利用技術を肌で感じてもらう(技術・製造業)
  • 宿泊業へのイメージ再認識(サービス業)
  • 希望を持って社会人になってほしい(流通・販売業)
  • 生徒の仕事や組織に対する認識理解への援助(サービス業)
  • 会社紹介(技術・製造業)
  • ソフトウェア産業の動向、ソフトウェアの仕事、高知の現状を知ってもらう(技術・製造業)

ここで受け入れ企業の目的が、学生売り手市場下の採用活動で見受けられる「学生青田刈り」のような直接的な企業利益としていない点に注目したい。声を見ていくと、かつて「キャリア教育」という文言が使われる契機となった「若者自立・挑戦プラン」(平成15年に文部科学省、厚生労働省、経済産業省および内閣府の関係4大臣によってとりまとめられた)と符合する内容が多く、将来を担う若者たちに勤労観、職業観を育み、自立できる能力を身につけさせる契機にしたいとする意図が窺える。それは、厚生労働省「平成17年企業における若年者雇用実態調査」で発表された、企業が若年正社員に望むことや身につけてほしい能力、すなわち「職業意識・勤労意欲」49.0%、「チャレンジ精神・向上心」40.4%、「マナー・社会常識・一般教養」39.4%、「強い責任感」37.6%、「コミュニケーション能力」27.0%と一致し、当然のこととして経済産業省が平成19年にとりまとめた「企業の求める人材像」調査の社会人基礎力「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」とも一致する。

受け入れ企業等組織の開拓に向けて考えるべき課題

これらのことから、企業等組織が若年労働者にかける「期待と現実」との間に横たわる問題認識に基づいて、高校生の職場体験受け入れが意思決定されていることが考えられる。それは、新卒者の採用活動および入社が行われて初めて認知され得る問題である点に、受け入れ組織開拓の難しさがあることが推定される。すなわち、高知県内企業の特質としてそのほとんどが中小・零細規模で経営がおこなわれており採用数が極めて少ないこと、長引く不景気の中で、バブル経済崩壊以降、採用を抑制している企業が多いこと、採用・教育実務の専任者がおらず、十分な問題分析がおこなわれにくいことなどから、多くの企業等組織で問題の本質が認知されにくく、また、職場体験受け入れが喫緊の経営改善と直接的には結びつかない活動であることから「今はその余裕がない」として先送りされていることが考えられる。

課題へのアプローチ

高校生職場体験を始めたきっかけをお聞かせください下の図で明らかであるとおり、従来の受け入れ企業開拓は担当教職員の熱意によっているところが大きい。しかし、個人に委ねられる善意の相互意思に依存するだけでは心もとなく、今後の経済の縮小とともに職場体験も縮小化せざるを得ない事態となるであろう。経営に関わる意思決定を過去から現在の視点で発想すると、そのような縮小均衡に陥る蓋然性が高くなる。素晴らしい社会、経済の実現をその目的として、未来の理想像から現在を紐解き、今、経営として何をなすべきかを意思決定する支援が求められる。具体的には、開拓担当教職員が地域の企業等組織に職場体験を依頼する際のメッセージ、文書などを通して、「体験学生の生の声」や「受け入れ企業の描く使命感」が窓口担当者に届けられ、経営の中枢に「職場体験学習の社会的意義」や「期待される社会的役割」が臨場感をもって伝わる仕組みを構築すること。そのために、ウェブサイトやこのような事例集などの道具を整え、誰もが手に取って考えやすい環境を整備すること。そして、高知県地域全体で「子ども達を育成する」という風土を醸成し、産学官が連携して対話する場を共有していくことが必要であろう。